車いすの介助について
2020.06.08 Category:車いすの介助は、ただ押して歩けば良いというだけではありません。
段差などにつまずいてしまうと、車輪が小さいため大きく傾いて思わぬ事故が起こってしまうので安全に配慮する必要があります。
そのためには、車いすの正しい介助方法や段差があった時の対処法を知っておきましょう。
車いすの正しい介助方法5つのポイント
ここでは、安全に車いすを移動させるための基本となる、正しい介助方法をご紹介します。
車いすを使用する前には安全確認をする
使用頻度に関わらず、車いすを使用する時には必ず安全確認をします。
タイヤがパンクしていないか空気が十分に入っているか、動きがスムーズか足回りをチェックします。
次に、ブレーキやストッパーに異常がないか、ネジが緩んでいたり、いすがガタついていたりしないかも確認します。
足を乗せるフットサポートやシートなどもチェックして、安全に乗れることを確かめてください。
車いすに乗っている人の視点で「ゆっくり」を心がける
車いすに座ると視線が低くなるため、普通のスピードであっても速く感じるので、恐怖を感じます。
また利用者から介助者の顔が見えないので、速く押されると不安になってしまいますし、歩いている人にとっては平坦な道であっても、車いすに乗っている人は振動を感じていることもあります。そのため、車いすを押すときはゆっくり歩くことを心がけてください。
また、押しているときは出来るだけ声がけをして、不安を取り除いてあげましょう。
移動する時以外は常にブレーキをかける
車いすはちょっとしたことで動いてしまうので、座ったり立ったりする時には必ずブレーキをかけます。移動する時以外はブレーキをかけることをクセづけてください。
地面というのは、立っている状態では平行に感じても、実際には傾斜がついているところもあります。停止したり車いすから離れたりするときは必ずブレーキをかけましょう。
ちょっとした油断が大きな事故につながることもあるので、ほんの少しの間でもブレーキをかけるのが車いす介助の基本です。
坂道では上りと下りで押し方を変える
上り坂の場合は、普通に前向きで押して大丈夫ですが、車いすが下がらないようにしっかり力を入れて押しましょう。
下り坂の場合は後ろ向きで進んでください。少しの傾斜であっても、椅子に座った状態では相当に傾いているように感じます。
前のめりのまま進むのは怖いですし、ちょっとつまずいたりすると転げ落ちてしまう可能性もあるので、ブレーキをかけながら歩幅を広くとって後ろ向きで進んでください。
砂利道の場合は、後ろ向きで進むことでタイヤが砂利に埋まってしまうのを防ぐことができます。
急発進や急停止は絶対にしない
準備が整ったからと言って急に発進をしたり、突然止まったりするのは厳禁です。
いすという安定した乗り物であっても、急な動きをすると乗っている方の体は不安定になってしまうので、急発進や急停止をしないように周りの安全を確認しながら進むことが重要です。
特に気をつけたい「段差」の対応方法で安全を確保
普通の道でしたら、基本的な介助方法を守ってさえいれば事故の危険性はありません。
しかし段差があるところやガタガタの道の場合は、それに適した介助方法があるので対応できるようにしておきましょう。
小さい段差は前輪を上げる
歩道から車道に出る時やお店の入口などにある小さい段差では、ティッピングレバーを踏んで前側の車輪を軽く上げて、後輪は段差にしっかり押し付けて車いすを乗り上げさせるようなイメージで、ゆっくりと押してください。
小さい段差であっても、普通に押してしまうと車輪がつっかえて前のめりになってしまいます。また、後輪が段差に沿っていないと前輪がスライドし、思わぬ方向に進んでしまうことも。小さい段差だからといってそのまま進まないよう注意しましょう。
2段以上の段差は無理をせず周りに協力を求める
段差が低く階段の幅が広い場合は、前輪を持ち上げて後輪を段差に押し付けて登ったり、後ろ向きでゆっくり下りたりする方法で問題ありませんが、高い段差の場合は自分だけでどうにかしようとせず、周りに協力を求めましょう。
数人で持ち上げる時は、車いすが傾かないように力の入れ方に注意をして、水平に保ったまま上げ下げすれば安全です。
まとめ
車いすで移動するということは、傍から見ているとまったく気がつかないような危険性を含んでいます。
実際に介助を始めてみると、小さい段差でもアスファルトの凸凹でも危険が大きいことに気がつくでしょう。
しかし、車いすは歩行が困難だったり姿勢が維持できなかったりする人にとっては、外の世界とコミュニケーションを取るための必須アイテムです。
日常生活にも必要不可欠な車いすを安全に使用できるように、介助をする方は正しい介助方法と段差の対処法をしっかり身につけてサポートしてあげてください。