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家庭用の階段昇降機とホームエレベーターの違いについて

2021.07.05 Category:

建物の上下階を移動する方法として、階段がありますが、機械的なものとしては、
 
・エレベーター
・エスカレーター
 
が思い浮かぶと思います。
 
一般家庭では、エスカレーターというものは設置不可ですので、家庭用エレベーター(ホームエレベーター)か階段昇降機が選択肢になります。
 
と言っても、階段昇降機がパッと思い浮かぶ人は少ないと思います。それでも実際にはホームエレベーターに比べても、階段昇降機を利用されているケースが多いのです。
 
今回は、階段昇降機とホームエレベーターの違いについて掘り下げてみました。
 
階段の上り下りが負担
 

階段昇降機の特徴

 
一般に階段昇降機と言ったとき、それは「いす式階段昇降機」を指すことが多いでしょう。いす式階段昇降機とは、階段に設置したレールの上を、いすを備えた本体が移動するという機械製品です。
 
利用者はいすに座り、座ったまま階段の上を運ばれるような形で移動ができます。
 
いすにはシートベルトがついているほか、分速6メートル程度のゆっくりしたスピードで動きますので、安全です。
 
以下に、ホームエレベーターと比較して、階段昇降機のメリットとデメリットを整理しました。
 

階段昇降機のメリット

 

・後付けの設置が可能

ホームエレベーターに比べての階段昇降機の強みは、すでにある階段に設置ができるということでしょう。
 
エレベーターは、エレベーターを設置する空間が必要です。新築時にならエレベーターの設置を前提に建築ができますが、既存の住宅の場合は、エレベーター棟を増築するような形で設置するのが一般的です。かなり大掛かりな工事になってしまいますし、住まいの状況によっては、後からのエレベーターの設置は難しいケースも多いです。
 
それに対して、階段昇降機は、ほとんどの階段に設置することが可能です。今の住まいに大きな手を加えることなく、上下階の移動を安全に負担なく行えるようになるメリットがあります。
 

・比較的、安価に設置できる

ホームエレベーターに比べて、階段昇降機のほうが費用面でも優れています。
 
製品を購入した場合でもあっても、直線型のタイプなら、60万円程度から設置できます。レンタルであれば、さらに安く利用することも可能です。
 
設置後のメンテナンス費用などのランニングコストの面でも、エレベーターのようにはかかりませんので、階段昇降機のほうが圧倒的に費用は抑えられます。
 

階段昇降機のデメリット

 

・利用者以外の家族にとって階段が利用しづらくなることがある

階段幅にもよりますが、階段昇降機を設置したことで、利用者以外の家族には階段の通行時に邪魔になってしまうケースも考えられます。
 
いす式階段昇降機は、利用しないときはいすの座面部分などをたたむことができますので、見た目ほど幅は取りません。それでも、もともとの階段幅に対して一部は製品が占めてしまうことになるので、事前に図面をもらうなどして、検討しておいたほうがいいでしょう。
 

・介助者と一緒には利用できない

いす式階段昇降機は一人乗りです。介助者がおられる場合、介助者が傍で階段を上り下りしながら利用することはできますが、エレベーターのように一緒に乗りこんで利用することはできません。
 

ホームエレベーターの特徴

 
ホームエレベーターは、その名のとおり一般家庭の住まいに設置する用途のエレベーターを言います。駆動方式の違いで大きく「ロープ式」と「油圧式」の2種類があります。ロープ式はワイヤーでカゴを吊り上がることで上下するものを指し、油圧式は電動ポンプの圧力でカゴを上下させます。
 
乗員数によりサイズが異なり、家庭向けでは定員1~3名程度が主流でしょう。
 
ホームエレベーターは階段昇降機と比べてどのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。
 

ホームエレベーターのメリット

 

・介助者なども含め複数名が同時に利用できる

エレベーターの定員の範囲で、複数人が同時に乗り込め、利用できる点は階段昇降機にはない強みです。介助が必要な人が利用者の場合、介助者も利用できるので利便性が高いと言えるでしょう。 
 

・荷物を運ぶのに便利

エレベーターの積載荷重は最大200kgとされています。積載荷重の範囲内で、荷物を持ったまま乗れるのも利点です。階段昇降機の耐荷重は90kg程度ですが、基本的に荷物を持ったまま乗ることは想定していません。 
 

ホームエレベーターのデメリット

 

・費用がかかる

ホームエレベーターの設置には300~500万円程度かかってしまうことが普通で、階段昇降機に比べて費用がかかります。容易に撤去ができないため、階段昇降機のようにレンタルできないのも弱みでしょう。
 
また、設置後のメンテナンス費用や電気代なども階段昇降機より高額です。ホームエレベーターは設置することで法定点検が義務づけられ、年間で数万円の費用がかかるほか、エレベーターを設置した住宅は資産価値が高まり固定資産税が上昇します。
 

・設置の工事が大掛かりで、構造上設置できないこともある

お伝えしたとおり、ホームエレベーターの設置は大掛かりな工事が必要で、時間も費用もかかります。
 
また、エレベーターの設置には建物の構造部分にかかわる工事が必要な場合もあり、希望の場所にはどうしても設置できなかったり、そもそも後付けでの設置が不可能なケースもあります。
 

なぜ家庭用エスカレーターはないのか?

 
ところで、冒頭で、上下階を移動する方法としてはエレベーターとエスカレーターとがあるが、家庭用のエスカレーターはないことをお伝えしました。
 
なぜ家庭用エスカレーターはないのでしょうか。
 
それは、設置するのがエレベーターに比べてもさらに大掛かりな工事になりますし、製品そのものが高額だからです。商業施設等に設置されているエスカレーターは、工事費を含めると数千万円になり、大規模なものは1億円近くになる場合もあります。
 
一般家庭に適したサイズであれば億ということはないかもしれませんが、やはり費用的にも、個人の住まいに設置するのはそぐわないことがほとんどでしょう。
 
そのため、一般家庭向けのエスカレーター製品は販売されていないのが実情です。
 
エスカレーターに相当する機能は階段昇降機で代替できますので、上下階移動の手段は、やはりエレベーターか階段昇降機の二択になります。
 

階段昇降機とホームエレベーター、どっちを選ぶのが正解?

 
階段昇降機とホームエレベータの違いについて整理しました。どちらかの設置を検討している場合、どのように考えればいいでしょうか。まず、重要な点として、
 
・ホームエレベーターを設置が可能な住まいか?
 
という点の確認が必要でしょう。この部分がクリアできなければ、ホームエレベーターにしたいと思っても、結局は設置できないのですから、比較検討に意味はありません。
 
ホームエレベーターも選択肢に入れられる状況であるなら、すでにお伝えしたような両者のメリット・デメリットを比較して考えることになります。
 
ポイントになるのは、
 
・費用面では階段昇降機のほうが圧倒的に安価
・介助者が一緒に利用したい場合はエレベーターのほうが使いやすい
 
といったあたりではないでしょうか。それぞれの住まいやご利用者の状況に合わせて、検討してみてください。
 
「どう考えればいいか迷っている」「階段昇降機について知りたいことがある」という場合は、ぜひ、弊社にご相談ください
 
ご連絡お待ちしております。